AI Tech Due Diligence | by DE-STK

買収前に、AIの「中身」を見極める。

コードを読み、数値で語り、経営判断に直結する形で。AIスタートアップのテクニカルデューデリジェンス。

対象はAI SaaS。プロダクトは伸びているように見えるが、その技術が本物の参入障壁なのか、基盤モデルの薄いラッパーなのか、単一モデル依存やデータ権利の地雷はないか。財務・法務のDDでは、この問いに答えられません。買収・出資の判断に必要な技術とAI固有リスクの目利きを、根拠のある報告書としてお出しします。

財務・法務DDでは、ここが見えない

LOIを結び、対象会社はコンタクトセンター向けのAI応対支援SaaS。デモは滑らかで、解約率も低い。しかし技術の中身は誰も見ていません。中核のAIは自社で作った強みなのか、海外大手のAPIを呼んでいるだけなのか。顧客データを学習に使う規約は適法なのか。開発が特定のエンジニア1人に依存していないか。

こうした論点は、コードを読み、開発者に会い、原価構造を数字で追わないと見えません。見落としたまま億単位の買収に進むのか、それとも技術の目利きを一度入れるのか。その分かれ道に立っているのではないでしょうか。

テックDDを頼むと、何が返ってくるのか

調査の深さ(コードを読み、数値で語る)
AI固有評価10項目と静的解析サマリまで踏み込みます。「良さそう」ではなく、推論原価ARR比や静的解析Critical件数といった数値で語ります。
経営判断に直結する形式
領域別の信号機表と、算定根拠つきの価格調整レンジ。読んだその日に、投資委員会や取締役会で使える形にします。
誠実さ(限界の明示)
未実施事項リストと、推測と事実の書き分けを明記します。見ていない範囲を「見た」と書かない。それが技術DDの信頼の土台です。

成果物は全13章、A4換算で33ページの報告書です。エグゼクティブサマリから、AI固有評価、コード品質、セキュリティ、原価構造、組織・キーパーソン、リスクレジスタ、PMI 100日プランまでを一冊に収めます。買収検討中の意思決定者が、技術の非専門家でも判断できる粒度で書きます。

サンプル報告書で見る、調査の解像度

実際の成果物イメージを、架空のAIスタートアップ「株式会社ツギテ」(コンタクトセンター向けRAG型応対支援SaaS・ARR1.84億円・従業員18名)を対象にしたサンプル案件でお見せします。エグゼクティブサマリの冒頭に置くのが、この領域別の信号機表です。どこが緑で、どこが赤かが一目で伝わります。

評価領域判定所見
アーキテクチャ・技術スタック良好モジュラー構成で拡張性は良好。技術選定は事業規模に対して妥当
AI固有リスク(moat・依存・データ権利)要是正薄いラッパーではないが、単一モデル依存と学習利用の規約グレーが残る
コード品質・開発プロセス要是正静的解析Critical 3件。テスト整備が事業成長に追いついていない
セキュリティ要是正ベクタ索引の共有namespaceとprompt injection対策の欠如
インフラ・原価構造要是正推論原価ARR比23%。モデル価格改定への感応度が高い
組織・キーパーソン重大コミットの71%がCTOに集中。検索パイプラインはバス係数1
規制・コンプライアンス要是正顧客データ二次利用の同意がopt-out欠如の包括同意のみ

サンプル案件の総合結論は「条件付き推奨」、ディールブレーカーは該当なし。登場する企業・人物・数値はすべて架空です。

発見事項は、価格交渉と統合計画の材料になる

報告書のリスクレジスタは、発見事項を重大度で並べるだけでは終わりません。各項目に是正費用の見積レンジと、表明保証・誓約条項への示唆を添えます。SPA交渉の論点整理が、そのまま成果物から得られます。下表はサンプル案件の価格調整材料4件(重大)の抜粋です。

ID発見事項是正費用(見積)表明保証・誓約への示唆
F-01単一基盤モデル依存 × 抽象化層なし1,200〜1,800万円契約条件・利用制限の完全開示を表明保証に
F-02顧客データの学習利用が規約上グレー600〜1,000万円取得同意の適法性に表明保証+特別補償
F-03AGPLライブラリ1件の混入300〜500万円クロージング前の代替実装完了を誓約事項に
F-04コミット71%がCTOに集中(バス係数1)1,000〜2,000万円CTOのロックアップ・競業避止をSPAに

これらを積み上げた価格調整インパクトは、サンプル案件では概算で ▲0.8〜1.4億円。内訳は是正費用の直接見積 3,100〜5,300万円と、モデル価格改定エクスポージャーや規約起因の解約リスク、キーパーソン退職時の事業停滞といったリスク見合い 4,900〜8,700万円です。値引きのための材料探しではなく、是正費用とリスクの定量化という根拠のある形で、交渉のテーブルに載せられます。

金額はサンプル案件での算定例です。実際の交渉で満額が反映されるとは限らず、効果を保証するものではありません。

このDDが、コスト・工数・売上にどう効くか

コスト:交渉材料と、想定外の出費の事前予算化

サンプル案件では、価格調整材料から▲0.8〜1.4億円の調整レンジを算定根拠つきで提示しました。仮に下限の半分しか反映されなくても数千万円で、DD費用の十倍前後の回収です。是正費用(抽象化層の導入、規約改定、ライセンス置換、キーパーソン対策)を事前に把握できれば、価格に反映するか、クロージング前の売り手負担にするかを選べます。まれにですが、中核技術が実は外部依存で資産価値がない、といったディールブレーカーが見つかれば、買収そのものを止める根拠を持てます。

工数:内製と比べても割に合う

技術DDを社内エンジニアで内製すると、評価設計・コード調査・面談・報告書作成でおよそ2〜3名 × 3〜4週間、約2.5人月かかります。人件費を会社総コスト(給与の約3倍、年収800万円のエンジニアなら人月約200万円)で換算すると約500万円相当です。しかもその間、本業の開発が止まります。専門家に出すのと社内で抱えるので費用は大差なく、違うのは品質と本業への影響です。さらにリスクレジスタは表明保証・誓約条項への示唆つき、PMI 100日プランの骨子つきなので、法務・経営企画の後工程を数週間単位で圧縮できます。

売上:買収先の成長を止めない、埋もれた機会を見つける

買収後にキーパーソンが抜けて開発が止まる、規約問題で解約が出る、といった事態は買収先の売上を直接毀損します。サンプル案件では月次解約率0.8%・NRR 108%という良好な数値を守るために、moat保全と規約是正を100日プランの最優先に置きました。加えてDDは減点調査であると同時に打ち手リストでもあります。サンプルでは「ISMS未取得により年3件のエンタープライズ商談を失注」という事実を面談から特定しました。平均単価297万円で換算すると約900万円/年の売上機会、粗利率65%として約580万円/年の利益貢献に相当し、認証取得の投資判断材料になります。

いずれもサンプル案件での試算例です。効果を保証するものではなく、前提とレンジを添えています。

進め方

1
キックオフ・スコープ確定
買収の論点と懸念を伺い、コード・面談・原価のどこを深掘りするか調査範囲を決めます。買収検討の初期段階なら、そもそもDDが必要な案件かの見立てからご相談いただけます。
2
資料精読・コード精読
リポジトリ、設計文書、原価データを精読します。サンプル案件ではコードの約18%を精読し、静的解析と合わせて品質と負債を評価しました。
3
マネジメント面談
CTO・エンジニアリングリード・SRE・CS・セールスなどに面談します。サンプル案件では6本を実施し、組織のキーパーソン集中やバス係数といった数字に出ない論点を拾いました。
4
分析・報告書作成
AI固有評価、コード品質、セキュリティ、原価感応度、組織、リスクレジスタ、PMI計画をまとめます。信号機表と価格調整レンジで経営判断に直結する形にします。
5
報告会
報告書をお渡しし、論点と是正の優先順位、交渉での使い方をご説明します。SPAやPMIの後工程にそのまま渡せる状態にします。

1案件あたりの実働は、調査範囲により2〜4週間が目安です(サンプル案件は実働14営業日・面談6本・コード精読18%)。

料金

調査範囲(対象の規模・リポジトリ数・面談本数・深掘りする論点)により個別見積とします。買収価格の交渉材料や是正費用の事前把握という効果に対して、費用は1桁以上小さいレンジに収まるのが通例です。まずは案件の輪郭を伺い、必要な調査の広さと概算をお出しします。

入口は初回相談(30分・無料)です。「この案件にDDは要るのか」「どこを重点的に見るべきか」という見立てから承ります。データ利活用の実装支援については Empower STK もあわせてご覧ください。

よくある質問

Q. 技術に詳しくない担当でも、報告書を読んで判断できますか

A. そのために書いています。領域別の信号機表で全体像を掴み、価格調整レンジと是正費用で経営判断に落とせる形にしています。技術用語は必要な範囲で噛み砕き、投資委員会や取締役会でそのまま使える粒度にします。

Q. どのくらいの期間で仕上がりますか

A. 調査範囲によりますが、実働2〜4週間が目安です。サンプル案件では実働14営業日で、面談6本とコードの約18%精読を行いました。買収スケジュールに合わせて範囲を調整します。

Q. 財務DD・法務DDと何が違いますか

A. 財務・法務では見えない、技術とAI固有の論点を扱います。moatの有無、基盤モデルへの依存構造、学習に使うデータの権利、モデル更新時の品質検証体制、キーパーソン集中など、コードと開発現場を見ないと分からない領域です。法務・財務DDと補完関係にあります。

Q. 見つかった問題は、買収をやめる理由にしかなりませんか

A. いいえ。多くは価格調整や、クロージング前の売り手負担、買収後のPMI計画で対処できます。報告書は減点調査であると同時に、買収後の打ち手リストでもあります。撤退が妥当なディールブレーカーは、根拠を添えてその旨をお伝えします。

Q. 売却を検討する側でも使えますか

A. 使えます。売り手が事前に自社へDDをかけ、指摘事項を是正してからプロセスに入れば、買い手からのディスカウント要求を抑えて売却額を守れます。同じ調査をセルサイドの準備にも活用できます。

Get Started

その案件に、技術の目利きを一度入れる

億単位の買収を、技術の中身を見ないまま進めるのは危うい判断です。買収検討の初期段階から、「この案件にDDが必要か」の見立てだけでもご相談いただけます。コードとAIの中身を、経営判断に使える形にしてお返しします。

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相談だけでも受け付けています。案件の輪郭を伺い、重点的に見るべき論点と概算をお伝えします。