<弊社参画前の課題>
新規タイトルのリリース直後であり、ユーザー行動ログはBigQuery等のDWHに蓄積されていたものの、活用可能な状態に整備されておらず、PMやゲームデザイナーが肌感覚でバランス調整を行っている状態。特にブロックチェーン特有のオンチェーンデータ(ウォレット接続数、トークン保有状況)とオフチェーンデータ(ゲーム内行動)の紐付けが複雑化しており、正確なLTVやROIの算出が困難であった。また、KPI定義が部門ごとに曖昧で、経営層へのレポーティングに都度数時間を要するなど、意思決定のスピードを阻害していたため、早急な可視化環境の構築と分析文化の醸成が求められていた。
<支援内容>
【参画初期:データ品質の担保と可視化基盤の整備】
・BigQueryを用いた生データのクレンジングおよび中間テーブル(Data Mart)の設計
・特にPvPモードにおけるイベント発火の重複バグを特定し、エンジニアチームと連携してログ設計を根本から修正。
・Looker Studioを用いた全社共通ダッシュボードの構築。DAU、ARPPU、D1/D7/D30 Retention等の基本KPIに加え、Web3特有の「ウォレット接続率」や「NFT保有ユーザーの継続率」をリアルタイムでモニタリング可能な環境を整備。
・PMやマーケティング担当者からのAd-hoc(単発)なSQL抽出依頼に対応しつつ、頻出クエリをビュー化し、非エンジニアでも数値を確認できるSelf-Service Analyticsの土壌を作成。
【参画中期:ゲームバランス調整と施策効果の検証】
・ゲーム内エコノミー(トークンミクス)の健全性分析を担当。Pythonを用いて通貨の流入・流出(Source/Sink)バランスをシミュレーションし、特定の高レベルプレイヤーによるインフレ発生リスクを検知、報酬を再設計。
・ゲーム内経済の崩壊リスクを未然に回避するためのトークンエコノミーの異常値を早期検知するアラートシステムを構築。
・ゲームデザイナーと連携した武器・キャラクターのステータス調整支援。勝率や使用率のヒートマップ分析を行い、特定の武器が「Pay to Win」状態になっていないかを監視・是正。
・新規ユーザーの離脱ポイントを特定するためのファネル分析とA/Bテストの設計・効果検証。チュートリアルの「強制進行」vs「スキップ可能」の比較検証を行い、オンボーディング完了率の最大化を主導。
【参画後期:予測モデルの導入とロードマップへの介入】
・ユーザーの行動ログ(プレイ頻度、課金間隔、敗北時の行動)を特徴量としたChurn(解約)予測モデルを構築。離脱予兆がある「Whale(高額課金者)」に対するリテンション施策(特別オファー等)のトリガーを設計。
・データパイプラインツール(dbt)の導入によるSQLクエリ管理のバージョン管理化と、データ系統(Data Lineage)の整理。属人化していた集計ロジックをコードベースで管理し、チーム全体の運用工数を削減。
・定例のロードマップ会議におけるデータドリブンな機能提案。定性的な「面白さ」だけでなく、リテンション係数に基づいた新モード(トーナメント機能)の実装提案。