検索順位はほとんど落ちていないのに、流入だけがじわじわ減っていく。Search Consoleを開くたびに、そんな違和感を覚えていないでしょうか。原因を探しても大きなアルゴリズム更新は見当たらず、社内では「LLMOって何かやってるの?」と聞かれる。調べてみても情報は断片的で、専門用語ばかりが目に入り、何から手をつければいいのか分からない。ひとりでサイトを担当している方ほど、この宙ぶらりんの状態はつらいものです。

安心していただきたいのは、LLMOが特別な技術や大きな予算を必要とするものではないことです。やるべきことは「現状把握」「コンテンツと構造の改善」「継続計測」の3段階に整理でき、その多くは今日から着手できます。まずは検索の入り口で何が起きているのかを、一緒に整理するところから始めましょう。

検索の入り口で何が起きているのか

Googleの検索結果には2024年から「AIによる概要(AI Overviews)」が日本でも表示されるようになり、2025年9月からは対話型の「AIモード」も日本語で使えるようになりました。何かを検索すると、まずAIがまとめた回答が目に入り、その下に従来のリンクが並ぶ。この画面をすでに見慣れている方も多いはずです。

この変化はクリック行動に表れています。米国Pew Research Centerが2025年7月に公表した調査によると、AIによる概要が表示された検索で従来の検索結果がクリックされた割合は8%で、表示されなかった検索の15%に比べてほぼ半分でした。概要の中に引用されたリンクがクリックされた割合はわずか1%です。加えて、ChatGPTやGeminiに直接質問して調べものを済ませる人も増えており、検索エンジンを経由しない情報収集が日常になりつつあります。

しかし、これは「検索が終わる」という話ではありません。ユーザーが情報に出会う入り口に「AIの回答」という層がひとつ加わった、というのが実態です。そしてAIの回答は無から生まれるわけではなく、Web上の情報を参照して作られます。つまり、順位表の上での競争に加えて、AIが回答を作るときに参照される側に回れるかという新しい勝負が始まっています。ここに向き合う取り組みがLLMOです。

LLMOとは何か:AIの回答に自社を登場させる取り組み

LLMO(Large Language Model Optimization)とは、ChatGPTやGemini、PerplexityといったAIが回答を生成するときに、自社のサイトや情報が参照・引用されやすいように整える取り組みです。AIO、GEO、AEOなど似た言葉が乱立していますが、指している中身はおおむね同じで、呼び方の違いに悩む時間はもったいないところです。用語の関係はLLMO・AIO・GEOの違いと使い分けで整理しているので、気になる方はあとで読んでみてください。

身構える必要がないのは、LLMOがSEOと対立するものではなく、その延長線上にあるからです。AIの多くは検索エンジンのインデックスや検索結果を参照して回答を作るため、検索で評価されているサイトはAIからも見つけてもらいやすくなります。違いが出るのは、評価のされ方と測り方です。

観点従来のSEOLLMO
評価する主体検索エンジンのアルゴリズムAIモデルと、AIが参照する検索システム
目指す状態検索結果で上位に表示されるAIの回答に引用・言及される
成果の現れ方順位、クリック数回答内での言及、AI経由の指名検索や流入
計測方法Search Console等で標準化済み標準は未確立。自社での定点観測が中心

表の最後にある通り、LLMOには確立された計測基盤がまだありません。だからこそ、施策の前後で比較できるように、自分の手で現状を記録しておくことが最初の一歩になります。

手順1「現状把握」:AIに自社の商材カテゴリを聞いてみる

最初にやることはシンプルです。お客様が使いそうな質問を主要なAIに投げて、自社が回答に登場するかを自分の目で確かめます。かかる時間は1〜2時間ほどで、費用はかかりません。

  1. 顧客が聞きそうな質問を5〜10個書き出す(例:「中堅製造業向けのデータ活用コンサルでおすすめは」「◯◯(商材名)の選び方を教えて」)
  2. ChatGPT・Gemini・Perplexityの3つに、同じ質問をそのまま投げる
  3. 「自社が出たか」「代わりにどの会社が出たか」「引用元はどのページか」を記録する

この作業だけで、AI検索の世界で自社がどう見えているかの解像度が一気に上がります。競合ばかりが登場するなら、その引用元ページを開いてみてください。比較表があるか、独自のデータがあるか、定義が端的に書かれているか。AIが好んで引用するページの型が見えてきます。あわせてGA4の参照元レポートで「chatgpt.com」「perplexity.ai」などからの流入がすでに発生していないかも確認しておきましょう。具体的な確認手順はAIに自社がどう扱われているかを確認する方法で詳しく解説しています。

手順2「コンテンツと構造の改善」:優先度をつけて手を入れる

現状が見えたら、次はコンテンツと構造の改善です。あれもこれもと手を広げる前に、効果の見込みと手間のバランスで優先度をつけます。

施策優先度理由
一次情報・独自データのあるページを作るAIは出典として独自性のある情報を引用しやすい。自社の事例・調査・実測値が最大の資産になる
定義とFAQを端的に書く「◯◯とは」への簡潔な答えは回答に組み込まれやすい。既存記事への追記でも効果が見込める
会社情報・実績ページの整備「どんな会社か」をAIが把握できる状態にする。運営者情報の欠落は引用の障害になる
構造化データ(FAQPage・Organization等)ページの意味を機械が読み取りやすくなる。実装済みテーマなら確認だけでよい
llms.txtの設置主要AI企業の正式サポートは未確認。低コストなので余力があれば

特に効果が大きいのは上のふたつです。よそのまとめ記事の焼き直しではなく、自社だけが語れる事例や数字を持つページを作ること。そして各ページの冒頭や見出しの直後に、質問への答えを2〜3文で言い切る段落を置くこと。AIは長い前置きの奥にある結論を拾うのが得意ではないため、端的な記述はそのまま引用のされやすさにつながります。

優先度「中」のふたつも、実は同じ方向を向いた施策です。AIは「この情報を発信しているのは誰か」を手がかりに信頼性を判断するため、会社概要や実績、執筆者情報が薄いサイトは引用の候補から外れやすくなります。会社情報のページに事業内容・所在地・実績を具体的に書き、記事には執筆者と専門性が分かる情報を添えてください。構造化データはWordPressなら対応テーマやプラグインで実装済みのことも多いので、リッチリザルトテストで現状を確認するところから始めれば十分です。

llms.txtについては期待値の調整が必要です。サイトの構成をAI向けに案内するテキストファイルとして2024年に提案されたものですが、GoogleはAI機能を含む検索でこの種のファイルを使わないと明言しており、他の主要AI企業も正式サポートを表明していません。設置のコストは小さいので置くこと自体は妨げませんが、これを済ませてLLMO対策をした気になってしまうのが一番の落とし穴です。位置づけと書き方はllms.txtの書き方と設置手順にまとめました。

手順3「継続計測」:週次で同じ質問を投げて記録する

改善したら、効果を確かめる番です。といっても、LLMOには検索順位チェックのような標準の計測手段がまだありません。専用ツールも登場し始めていますが、指標の定義は各社バラバラです。現時点で最も確実なのは、手順1で作った質問リストを固定し、週に1回、同じ曜日に同じ質問を投げて結果を記録する定点観測です。

記録はスプレッドシートで十分です。日付、AIの種類、質問、自社への言及の有無、引用されたURL、登場した競合名。この6列を週次で埋めていくだけで、施策の前後比較ができる自社専用のデータが貯まっていきます。

ひとつ注意したいのは、AIの回答は同じ質問でも毎回揺れることです。今週は出たのに来週は消えた、という変動は普通に起きます。1回の結果で一喜一憂せず、月単位で「言及される質問の数が増えているか」という傾向で見てください。効果測定の標準が未確立という現状を不安に感じるかもしれません。しかし裏を返せば、いま自社なりの定点観測を始めた会社から順に「自分たちの領域では何が効くか」の学習が進むということでもあります。GA4のAI経由流入も月次で並べて、AIでの言及が実際の訪問につながっているかを確認していきましょう。

この継続計測を手作業で続けるのは負担が大きいところです。週次で主要なAIエンジンに同じ質問を投げ、自社と競合の登場を記録し続ける部分は、AI検索での見え方を計測するツール(AIVIS STK)で自動化できます。まずは手を動かして感覚をつかみ、続けるのが大変になったら道具に任せる、という進め方で十分です。

まとめ

検索流入の減少は担当者の力不足ではなく、情報との出会い方そのものが変わり始めたことの表れです。LLMOと聞くと新しい専門領域のようですが、実際にやることは「AIに聞いて現状を知る」「引用されやすいページを作る」「週次で記録して確かめる」という地道な3段階で、SEOで積み上げてきた資産はそのまま土台になります。まずは今日、主要なAIに自社の商材カテゴリを質問してみてください。その画面が、次にやるべきことを教えてくれます。

よくある質問(FAQ)

LLMO対策とSEO対策はどちらを優先すべきですか?

切り分けずに、両方の土台になる部分から手をつけることをおすすめします。AIの多くは検索エンジンの情報を参照して回答を作るため、検索で見つからないサイトはAIからも見つかりにくいのが実情です。独自情報のあるページ作りと分かりやすい構造化はSEOとLLMOの両方に効きます。そのうえでLLMO固有の作業として、週次の定点観測を加えるのが現実的です。

LLMO対策の効果はどれくらいの期間で分かりますか?

標準的な目安はまだ確立されていません。ただ、AIの回答への言及は検索順位より変動が速く、コンテンツ改善後、数週間で回答に登場し始める例もあります。だからこそ週次の定点観測が有効で、3か月ほど記録を続けると自社言及の傾向変化が読み取れるようになります。AI経由の流入数はGA4の参照元レポートで月次確認してください。

llms.txtを設置すればAIに引用されやすくなりますか?

現時点では、設置が引用に直結するという根拠はありません。GoogleはAI機能を含む検索でllms.txtを使わないと明言しており、他の主要AI企業も正式サポートを表明していません。設置コストが小さいため「余力があれば置く」程度の位置づけで考え、優先すべきは一次情報のあるコンテンツ作りです。

小さな会社のサイトでもAIの回答に載りますか?

載る可能性は十分あります。AIは知名度だけでなく「その質問に端的に答えているか」「独自の情報があるか」を手がかりに引用元を選ぶため、ニッチな領域ほど、深い一次情報を持つ小規模サイトが大手より引用される逆転が起きやすくなります。自社だけが答えられる質問は何かを起点に考えてみてください。

ここまで読んで「手順は分かったが、自社の場合はどこから手をつけるべきか相談したい」と感じた方は、現在のAIでの見え方を客観的に把握するところから始めてみませんか。無料LLMO診断では、主要なAIで自社がどう扱われているかを確認し、優先して取り組むべき改善点をお伝えしています。